シドニーからロンドンへ。美容師の可能性は無限大。SHIMA#海外美容師インタビューNo,4 美容師 ロンドン

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安藤 志麻(アンドウ シマ) | SHIMA 1994年生まれ|愛知県出身

イギリス・ロンドン|フリーランス美容師


名古屋のサロンを経て、2023年にオーストラリア・シドニーへ。一度帰国したのち、2025年にイギリス・ロンドンへ移住。現在はロンドンでフリーランス美容師として活動中。

Instagram | @shima___1208

2020年、日本を離れると決断。しかしそこで起こったパンデミック。2023年ようやく実現した初めての海外生活。オーストラリア・シドニー。1年のワーホリを経て日本に帰国。「でも、やっぱり、もう一度海外へ行きたい」という思いからロンドン行きを決断。そして今、彼女はロンドンでフリーランス美容師として働いています。オーストラリアとイギリス、2つの国で働いてきたSHIMAさんに美容師キャリアの歩みをインタビューさせていただきました。

コロナで、行けなかった3年間

海外美容師をすると決めたのは、2020年。でも、ちょうどコロナが始まった時期で、なかなか日本を出られなかったんです。「行きたいのに、行けない」まま、悔しい時間が過ぎていきました。一度は諦めかけたこともあります。それでも、海外で挑戦したいという気持ちは、消えませんでした。

目次

私の好きなスタイルのサロンが、シドニーにあった

USFIN ATELIR

2023年、ようやくオーストラリアのシドニーに行くことができました。たくさんの国の中でシドニーを選んだのは、自分の好きなスタイルをやっているサロンが、そこにあったからです。オーナーは中国系の方で、スタッフもアジア系のスタイリストが多い店でした。受付にはオーストラリアの方もいましたが、サロンの現場では先輩たちに、たくさん助けてもらえたのは、初の海外生活だった私にとってすごく大きな支えでした。

先に職場を決めてから、海を渡った

USFIN ATELIRのスタッフ達と。

実は、オーストラリアに行く前に、仕事先を決めていました。見つけ方は、インスタです。気になっていたサロンのオーナーにDMで連絡して、オンラインで面談してもらいました。しかも、いきなり英語で面談。

当時の私は、英語はまったく話せませんでした。あとで思えば、あの面談は「どのくらい英語ができるか」のテストのようなものだったんだと思います。面談が終わったあと、「普段は日本語だから大丈夫だよ」と言ってもらえて、ほっとしました。

着いてからは、最初の1〜2週間はAirbnbやホテルに泊まって、その間に住む場所を探しました。見つけたのはシェアハウス。いろんな国の人が住んでいて、正直、最初はその汚さにびっくりしましたね。でも、それも経験だな、と。楽しみながら、1年のワーホリを過ごしたのを覚えています。

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シドニーで驚いた、アジア人スタイリストの技術

一番おどろいたのは、技術のことでした。「日本人は技術が高い」と、よく言われますよね。私もそう思っていました。でも実際にサロンで働いてみると、ほかのアジア系のスタイリストたちが作るハイライトの技術やクオリティに、圧倒されたんです。日本人が一番、というわけではないんだ、と。ここで見た景色は、大きな刺激になりましたね。

一度日本に帰ったけど、でもやっぱり海外に行きたい。

2024年、私は一度、シドニーから日本に帰りました。地元・名古屋の、もともと働いていたサロンに戻って、1年ほど働いたんです。

帰ること自体は、楽しみでした。でも、日本に戻ってみると、「やっぱり、また海外に行きたい」という気持ちが、どんどん大きくなっていったんです。実は、シドニーから帰ってくるタイミングで、もう次はロンドンに行くと決めていたんです。だから名古屋のサロンオーナーにも、「次、すぐ行くと思います」と話しながら働いていました。

そして次の海外美容師の挑戦で選んだのはロンドン。

ワーホリで行ける最後のチャンスでもありましたし、「これが最後のワーホリになるから、そのきっかけは絶対につかみたい」。そんな思いで、2025年、ロンドンに行くことを決めました。今は、ロンドンでフリーランスの美容師として働いています。

シドニーとロンドンで感じた違いについて

2つの国で働いてみて感じた違いは、シドニーではアジア系のサロンということもありアジア人のお客様や、ローカルのオーストラリア人のお客様を多く担当していました。

オーストラリアにいたときは正社員で働いていたので、休んでもそれなりの給料がもらえたんです。でも今のロンドンは、フリーランス。休んだ分は、そのまま収入が減ります。おそらく正社員とフリーランスの働き方の違いは日本も同じですよね。

チップについては、実はオーストラリアもロンドンも、もともとチップの文化はないんです。会計のとき、カード決済の画面で5%・10%・15%と選べるようになっていて、そこに「ノーチップ」もある。それを押しても、失礼なことにはなりません。チップがないのが当たり前の国ではないので。ただ、面白いことに、みんな意外と払ってくれるんですよ。70ポンドのお会計だったら、10%の7ポンドを、気持ちとして足してくれる感じです。

ロンドンに来て感じたのは、多種多様な人々が共存して暮らしているところ。髪質もバックグラウンドも違う人たちの髪を担当するので慣れるまでは少し時間がかかりましたね。

お客さんの層は、2つの国で共通しているところがあって。アジア人のお客さんは、やっぱりアジア人の美容師を探して来てくれることが多いんです。同じ髪質を分かってくれる安心感があるのかもしれません。

物価は、正直、ロンドンのほうが高いです。家賃も、外食も、本当に何もかも。「高いなあ」って、いまだに毎日思いながら暮らしています。ご飯もシドニーのほうが断然、美味しいお店が多い印象ですね。

ロンドンで学んだ、癖毛のヘアカット

技術の面でも、国が変わると、学ぶことがまるで変わります。ロンドンに来て一番おどろいたのは、くせ毛(カーリーヘア)のカットでした。日本にいたころは、こんなにしっかりくせ毛の方を担当することは、正直ありませんでした。

まず、道具からして違いました。日本では、私はシザー(ハサミ)で切ることがほとんどでした。でもこちらでは、レザーをたくさん使います。同じ「切る」でも、仕上がりの質感が全然ちがう。レザーで切ると、毛先が軽く、動きが出やすくなるんです。

くせの強い方になると、コームを使わないこともあります。指で毛束をつまんで、引っぱりながら、そのカールの流れを見て切っていく。髪が乾いた状態のまま切ることも多くて、「この人の髪は、どんなふうにはねて、どんなふうに落ちるのか」を見きわめながら、一束ずつ決めていく感覚でした。日本で習った「濡らして、コームで整えて、まっすぐ切る」とは、考え方からして真逆だったんです。

スタイリングも、まるで別世界でした。オイルやジェルを、日本では考えられないくらい、たっぷり使う。しかも、髪全体にざっとつけるのではなくて、細かくブロックに分けて、一つひとつの束にていねいに塗り込んでいく。そのための専用のブラシまであるんです。最初は「こんなに使うの?」とびっくりしましたが、くせ毛の一本一本をきれいなカールにまとめるには、それが必要なんだと分かってきました。

面白いのは、現地のスタイリストは、逆に、アジア人の髪が苦手だったりします。私たちの髪は、太くて、量が多くて、真っすぐ。それが彼らには珍しくて、「こんなに毛が多い人、どうやって切ればいいの?」と、本気で困っているんです。だから私が、「この髪質なら、ここはガンガンすいて軽くして大丈夫だよ」と教えたり、

互いに、自分の得意な技術を貸し借りしているような感覚なんです。私は彼らからくせ毛のカットを学び、彼らは私からアジア人の髪の扱い方を学ぶ。どっちが上でも下でもない。育ってきた場所が違うだけで、それぞれに「その土地の髪」に磨かれた技術がある。この経験で、私の引き出しは、日本にいたころの何倍にも増えました。海外で美容師をやる面白さって、こういうところにあるんだと思います。

ビザという、これからの壁

ロンドンのワーホリは2年。もうすぐ終わるので、次のビザを申請しようとしています。ただ、正直、これがなかなか大変なんです。

最近、制度が変わって、美容師はビザが取りづらくなりました。「基本給で、これだけ稼いでいないとダメ」という条件があるのですが、私たちの仕事は歩合が多いので、基本給だけでその金額を満たすのは難しい。英語の要件も、ぐっと高くなりました。

だから、本気でロンドンに住み続けたい人は、2年のうちに「ビザを出してくれるサロン」で働いて、英語もしっかり勉強しておく必要があります。フリーランスだと、そこは難しいんです。ひとつ言えるのは、ビザのことは、ローカル(イギリス人)のオーナーより、日系(日本人)のオーナーのほうが詳しくて、助けてくれることが多い。イギリス人のオーナーに相談したら、「俺にできることは何?」と、そもそもビザのことを知らなかったりしたので。

お客さんとの出会い方について

ロンドンでの集客は、やっていることは日本と同じです。お客さんと、とにかく仲良くなる。「また、この人に会いたいな」と思ってもらえるように接客する。

特に日本人ならではのおもてなしや、気づかいは喜んでもらえることが多いですね。「あなた、すごく親切ね」と言って頂けることも多いですし、日本人にとっては、何気ない接客や技術への配慮はアドバンテージに働くことがありますね。

出会いは、意外なところにあります。パブで飲んでいて、隣の人と話して、「美容師なんだ」となると、「今度、切りに行くね。インスタ教えて」と自分から探しに行かなくても、繋がって行くことが多々あります。

ハサミ一本あれば場所を選ばない。だから美容師は面白い

海外に住みたい、と考える日本人の多くが、最初にぶつかるのは「仕事、どうしよう」という壁です。英語が話せないと、選べる仕事はぐっと狭くなる。日本食レストランで働くか…と、なりがちなんです。

その点、美容師は違います。技術さえあれば、ハサミ一本で、どこの国でも戦える。言葉がまだうまく話せなくても、働き始めた初日から、お客さんの前に立てるんです。私は、これって本当にラッキーで、かっこいいことだと思っています。海外に来て、「英語ができないから」と下を向くのではなく、自分の手に持った技術で、いきなり勝負できる。手に職があるって、こういうことなんだな、と実感しました。

しかもこの仕事は、天井がない。年齢も、あまり関係ありません。若いから稼げない、ということもない。やり方次第で、可能性がどこまでも広がっていく。海外に出て、そのことがより、はっきり見えてきました。

専門学校も、迷わず美容の道を選びました。あのころは何も分かっていなかったけれど、今なら分かります。この仕事を選んで、本当によかったですね。

これから海外をめざす美容師さんへ

「今すぐ行きたい」と思っているなら、行っちゃえばいい、と友達には言います。でも、ひとつだけ。多少は、自分の技術に自信を持ってから行くほうが、安心だと思います。

海外では言葉も、第一言語ではありません。お客さんが満足してくれなかったとき、「私なんて…」と落ちこんでしまう時もあるかもしれません。ですが、技術があるからこそそれぞれの髪質を見極め「このスタイル似合うと思うよ!」って伝えられますし、あなた(お客様)に向いていない、という事も、プラスに表現して提案してあげられる力がある方が、たとえ壁にぶつかったとしても、くじけずにやっていけると思います。

とにかく美容師の可能性は無限大だと思うので楽しんで頑張って欲しいですね。

BLUE CANVAS編集部

シドニーからロンドンへ。SHIMAさんの話を聞いていて感じたのは、その道のりを彼女自身が、心から面白がっているということでした。

新しい国、新しい技術、新しい出会い。どれも「大変だった」で終わらせず、

「でも、それが面白かったんですよ」と笑いながら話す彼女の人としての魅力に本当に引き込まれました。

その前向きな明るさと好奇心こそが、SHIMAさんの美容師としての一番の力であり原動力なのだと思います。

安藤 志麻(アンドウ シマ) | SHIMA 1994年生まれ|愛知県出身

イギリス・ロンドン|フリーランス美容師


名古屋のサロンを経て、2023年にオーストラリア・シドニーへ。一度帰国したのち、2025年にイギリス・ロンドンへ移住。現在はロンドンでフリーランス美容師として活動中。

Instagram | @shima___1208


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